会社近くの文教堂書店で、岩波・講談社・ちくま等の学術文庫が並ぶ一角を眺めていたら、講談社学術文庫のM.ダグラス著「図説 金枝篇」(上)(下)2巻を見つけました。金枝篇といえばJ.G.フレイザーの筈ですが、著者が違ったので気になり序文を立ち読みしたら、「原著を著者独自の視点でバッサリ要約、しかしながら主要な論点は一通り網羅、一応は原作者の意図した結論にたどり着ける筈、更に新たに170点超の写真・図版を付与」との事だったので、フレイザーの全13巻を読まなくてもそこそこ読んだ気になれそうとか思って購入しました。歴史・神話を題材とした本格推理小説的な感じで、素直に面白かったです。常に「ネミの湖」「森の王」「金枝」を軸とした最初の問い=金枝とは何ぞや?に立ち返る一貫性が心地よく、電車移動の合間という途切れ途切れの時間でも、思考の途絶なしに無理なく読めました。巻末の翻訳者解説に、本書が影響を与えた一例として柳田国男への言及がありました。雑学の集大成的な所はむしろ、柳田よりも南方熊楠の「十二支考」に近いイメージでしたが、脱線して戻ってこない南方のある意味故意に支離滅裂な文体とは異なり、論旨の一貫性という意味では柳田・和辻的、更に云うと、主題の扱い方というか雑学を敢えて意図的に開陳しながらの方向性の誘導という意味で、分野違いですが題材的にもユングを思い出しました。この一貫性がダグラス由来かフレイザー自身か興味が沸いたので、近々13巻本にも挑戦してみようと思いました。
一貫性で少々脱線ですが、「話好き」「友好的」と評される類の方々との会話では、目的・主旨の分からない話を長々・ダラダラとされた挙句、「何の話だったっけ?」とか真顔で言われ、内心イラっとさせられる事が結構あります。仕事・プライベートを問わず、相手に貴重な時間を割いて頂く訳ですから、相手への礼儀として簡潔を旨とし、一貫性を心掛けるべきと思います。博覧強記の開陳や過去の武勇伝は、相手の沈黙への不安感の裏返しなのである程度は仕方ないですが、行き過ぎると相手に不快を与える事、決して少なくないと思います。他人事ではなく自制の意味も含め、改めて色々と考えさせられました。

所で、私自身が何故に今回上のような無駄話を、それこそむしろダラダラと書いているのかと言いますと、昨年色々と求人努力した結果として、今年から少しずつ我が社への求職問い合わせが増えてくる筈と期待しており、そうなると人事面接とかする訳なので、多少なりとも求職者が話す際の掴みのネタにでもなれば、とか思った次第です。その際の一番のNGポイントが、上に書いた一貫性のない話し方です。
折角なので、もう少し読書ネタで書き足しておきます。

私はギリシア・ローマ時代の文学・哲学・歴史が好きで、何かを読む際は、これらを基準に以前・以後的な連鎖関係の視点で読む事が多いです。そういう意味では再び金枝篇の話ですが、これは直球ど真ん中でした。昨年は同書の他に、同文庫の原聖著「ケルトの水脈」、メアリー・ボイス著「ゾロアスター教」、中公新書の小林登志子著「シュメルー人類最古の文明」、雄山閣出版の「プリニウスの博物誌」とか読みました。ギリシャ以前・以後への相互影響の視点で読むと、一味違って面白いです。
一方で一昨年はちくま学芸文庫のフォン・ノイマン著「計算機と脳」、岩波文庫のウィーナー著「サイバネティックス」など科学的なやつ辺りが多く、つられて蔵書からシャノン・アインシュタイン・アシモフ辺りを改めて読みました。
更にその前年は、諸事情あって表裏千家の茶道&料理本、付随して食文化関連を多く読みました。
要するに大体一年周期で、その年の読書テーマが変わっています。特に意図していないのですが、結果的にそうなっています。
毎年のテーマから外れた、所謂愛読書というやつもあります。ヘロドトス「歴史」、カエサル「ガリア戦記」、ソフォクレス「悲劇」、パウサニアス「ギリシア案内記」、タキトゥス「ゲルマニア」あたりです。今でも割と良く読みます。
一方で、ひと頃読み耽ったマルクス理論や革命・政治論、アダム・スミスから最近だとドラッガーに至る一連の「経済」関連、カントやヘーゲル、ニーチェ、ハイデガー等の近現代哲学、密教や鎌倉仏教の解説本等の仏教由来関連は、最近あまり読まなくなりました。同じ所を堂々巡りしている印象が強く、読み直す気力が衰えただけで、必ずしも否定的には思っていません。
毎月出版される書店店頭とかコンビニとかに並ぶ経済雑誌類も同様です。特に、毎度同じ切り口の特集が辛いです。毎年新たな世代が社会に出る訳であり、同じ切り口による啓蒙は悪い事ではなく、単に自分の読む気力が衰えただけです。
小説は、大学時代に英米文学が好きだったので昔は割と読みましたが、最近は読んでいません。総じて古典類は読みますが、現代文学はあまり好みません。

これだけ書いておけば、文系の方々も臆せず、ご自身の専門分野から多少語れるのではと思います。理系の方々は普通に、ご自分の研究内容など、是非熱く語って頂ければと思います。
逆に、私の仕事上の専門分野であるCATV・通信・ソフトウェア工学あたりを下手に真顔で語られ、私が語り出す方向に故意に誘導とかされると、そういう風にしゃべるのはあまり好きではなく、むしろツッコミが厳しくなると思います。業界経験者で相当の自信がない限り、素直にご自身の分野に基づき、簡潔に一貫性をもって話して頂ける方が嬉しいです。
蛇足として、運動が得意であればご自身の運動経験で良いと思います。飲食・厨房経験者ならそういう話題でも全然OKです。

なお一旦掴みがOKとなったら、後は現実的な質問・確認が大事です。特に、就業時間、勤務地、残業の有無、平均残業時間あたりは臆せず聞くべきと思います。一方で社風等は、実際の所は中に入ってみないと結局分からないと思うので、真顔で聞くのはどうかと思います。逆に聞かれると疲れるのが、私の起業経緯や事業への想いです。というのは創業して随分経ったので、話す方も聊か話題に飽きが来ております。どうしても話せと言われれば話しますが、できればもう勘弁して頂きたいです。

大体こんな感じでしょうか。