製品化に際し、(株)関電工様から様々なご支援を賜りました事、この場にて深く御礼申し上げます。

製品名の由来ですが、色々と二転三転した結果の現状であり、あまりきれいな説明を付けにくいのが本音ですが、強いていうなれば、”PROVisioning platform utilizing ISC-dhcp” といった感じになるのではないかと思います。

CATV網によるIP通信のデファクト標準であるDOCSISでは、OSSIの中核に相当する「プロビジョニング」機能の通信プロトコル部分にDHCP/TFTPが使われています。
20年弱前のDOCSIS黎明期には、DOCSISを正式にサポートする商用製品はCisco社のCNRしかなく、高くても皆我慢して使っていましたが、2017年現在、ArrisやCisco等の大手メーカー以外の中小メーカ製のCMTSもそこそこ普及する状況となっており、そうなりますとCNRの高額サブスクリプション費用がOPEXを圧迫、金額が悪目立ちする事態となる訳でして、この結果、CNRよりも安価な別のプロビジョニングへの置換需要が強まっています。
10年程前までは、CATV局にIP系の技術ノウハウが そこそこ蓄積された事もあり、安価な別製品というよりも、いっそ無償のオープンソースDHCPを組み合わせて自前で構築する動きも良く見られました。
所がその後、特にDOCSIS3.0が出た頃でしたが、主にチャンネルボンディング概念の登場によりDOCSISのOSSIが複雑化し、特に小規模局では技術ノウハウの追随が困難となってきた事、及び、IP系技術者の雇用流動が本格化し、折角蓄積したノウハウを持ったまま他社に転職するケースが相次ぎ、自前でシステムを構築するリスクが改めて顕在化した事から、商売として責任を持ってくれる専業ベンダーに保守込みで委託する形に方向性が戻りつつあります。
我が社は創業以来、主に監視アプリ開発屋の立ち位置から、CATVのプロビジョニングには様々な形で色々と関わって来ましたが、ここ5年位はISC-DHCPを応用したシステム構築事例が続いています。
ISC社は最近、後継DHCPサーバーアプリとして「KEA」というDHCPサーバーをリリースしましたが、何れにせよISC社のDHCPであれば、我が社にはそこそこのノウハウが蓄積されています。
そこで、この際折角だからという事で、Cisco CNRを置換できるオープンソースのサーバーアプリ群を取りまとめ、PROV-ISCという形で製品化しました。

商用製品ですから、ISC社DHCPアプリの弱点である性能面の貧弱さやフェイルオーバー実装の不完全による可用性面の難点を各種の裏技で克服、最低限のUIも付け、商用利用に耐えうる水準にまで一通り改良しています。

が、企画・設計した張本人の私が言うのも何ですが、そもそも論としてDOCSIS3.1や来る4.0等の基盤OSSIとして、DHCP屋の思惑通りにDHCPv6が普及するのか、ないしは近いタイミングでhttpベースの他のプロビジョニングプロトコルに置き換わるのか、かなり不透明な気もしています。
というのは、余りにも過去の遺産に拘り過ぎ、安易にDHCPを必須のままにすると、リレーエージェントに代表されるCMTSの過度のインテリ化を後押ししてしまい、結果としてCMTSが本来目指すべき脱インテリ化の流れを阻害する一因にもなり得るのでは、などと密かに思ったりもしています。

FTTHとマイグレーションするには、複雑怪奇化したCMTSをシンプルに脱構築するタイミングが何れ必ず来る筈と思っており、その際にDHCPに寄り過ぎた偏った視点を持つのは宜しくなかろう、とか内心思ったりしています。

最近、CATV以外の仕事の比率が上昇、比較的引き合いが多い分野は、電力用スマートメーター関連と、IoT末梢部分の無線GWの管理・監視関連あたりです。
これらのネットワークには、当然ですがDOCSISの過去の遺産による呪縛は存在しませんから、DHCPに偏り過ぎるべきではないという上の視点にも、単なる妄想ではなく現実に即した現状認識という意味で、結果としてなってくる訳です。

何にせよプロビジョニングベンダーとして大事な事は、DHCPであろうが何であろうが、方式が変わる節目には即対応できる技術力・ノウハウを日頃から養い、既得権益に囚われず、時代の変わり目には速やかに他プロトコルに躊躇なく置換する柔軟な思考・態度を常に心がける事だと思っています。
PROV-ISCの将来は、DHCP等の特定技術に拘らないという意味でも、中長期的に柔軟な製品であり
続ける事を、商用製品を開発・販売するベンダーの社会的責務として、真摯に目指したいと思って
います。