SCTE Cable Tech EXPO 2020 – CATVと5G携帯網

米国EDTの10月15日(木)10:00AM-11:15AM、”Converging Access Networks The State of Converging Access & 5G Mobile Networks: What’s Happening, What Matters?”というセッションが開催されました。
本セッションは、一昔前にまことしやかに喧伝されていたCATV網対携帯通信網の対立関係が、今やCATVが5G携帯網のバックホールとして最有力候補と見なされているというパラダイムシフトを説明、その上で、CATV網の技術課題の一部、特に、スモールセルのサイズ、網時刻の精度の二点に注目するものでした。

最初に、米Cable Labs.のJennifer Andreoli-Fang氏が、欧州ボーダーフォンによるCATV事業者の買収を例に挙げ、欧米で現在進行中の携帯事業者とケーブルMSOの融合・同一化の流れを説明、その上で、CATV側の主たる課題として5Gの低遅延・高精度要件とCATV業界による各種の取り組みについて説明しました。
Jenniferが特に注目していた要素技術は、DOCSIS3.1/4.0の5Gスモールセルバックホール化、及び、SDN/NFV等のネットワーク仮想化概念の浸透に伴うNETCONF/YANGの積極活用でした。
我が社の本業が管理・監視系ソフトの開発である事もあり、関連技術としてSDN/NFVは以前から継続的に調査・研究していたのですが、スモールセル等のインテリジェント機器数が爆発的に増える事態となれば、SDN/NFVの現実的な実装方式の一つとして、NETCONF/YANGが改めて脚光を浴びる状況が予想されます。
米Cable Labs.は独自のオーケストレーターアプリをオープンソース化しており、Jenniferの説明はこれら米Cable Labs.の活動にも沿った流れなのでしょう。
我が社としても、積極的な対応が必要な分野だと思いました。

次に、Cisco社フェローのJohn Chapman氏が、現状のノード=セルサイズを分割するスモールセル概念について説明、その上で、周波数帯・帯域幅・送受信出力・変調方式等の諸条件の仮定に基づき、5Gのトラフィック要件を満たすための適切なスモールセルサイズ試算について説明しました。
確かに、一般世帯向けでなく5Gバックホールとしてであれば、DOCSIS3.1/4.0は一定の需要を喚起できるかも知れません。というのは、スモールセル化が進むと光ファイバーの芯数が不足する筈で、これを安価に解決する現実解の一つとして、DOCSIS3.1/4.0 CMを内蔵したDAA機器を同軸ラインに多数分散配置する方式は、特に光ファイバーの敷設数が少ない米国では有用な筈だからです。
量産効果が出て機器が安価になれば、日本でも普及するかも知れません。

続けて同じくCisco社のElias Chavarria Reyes氏が、5Gの低遅延・高精度要件を実現するための網クロック精度向上の必要性を説明、その上で、CATVによる対応策の一つであるDTP(DOCSIS Time Protocol)について説明しました。
CMTSの裏側まで時刻リクエストが飛ばず、ネットワークエッジである3.1/4.0CM内にDTPサーバーがあり5G側からのリクエストに分散応答できれば、CMTSのリソース的にもDOCSISネットワーク帯域的にも有利性があるとは確かに思いましたが、現状の問題に関する定量的な説明がなかったので、必然性について少々疑問が残りました。

最後にFujtsu社のBill Beesley氏が「現実的な」総括を行いましたが、正直言ってさほどの意義を感じない一般論的な話で、残念ながらトリが一番面白くなかったです。

しかしながら、全員に共通したテーマは「今日のCATV事業者は明日のモバイル事業者」で一貫性があり、そういう意味では聞いていて違和感を感じないよく練られたセッションだと思いました。モデレーターであるCharter社のCraig Cowden氏と各発表者が良く準備した成果でしょう。
主旨は、DOCSIS3.1/4.0は5G携帯網のバックホールの最有力候補であり、CATVは5Gに有用だ、という事です。
人によって異論はあるでしょうが、私自身は確かにそうかも、と素直に思いました。