SCTE Cable Tech EXPO 2020 – PNM

PNM(Proactive Network Maintenance)絡みのセッションは二つ拝聴しました。

一つは米国EDTの10月13日(火)13:00PM-14:00PMに開催された”Proactive Network Management: Cool Tools to Identify and Eliminate Impairments”というセッション、もう一つは翌14日(水)9:30AM-10:30AMに開催された”What Does A Wider Upstream Path Mean for Signal Leakage Monitoring and Reporting?”というセッションです。

前者のセッションは、DOCSIS伝送で問題となっている歪・エコー成分の除去にAIを活用するという内容で、原理的・技術的要素の強いものでした。
最初にCable Labs.のJason Rupe氏が、RxMERを活用したPNMフレームワーク、RxMERとビットロード・PMAの相関について説明しました。
続いてComcastのJude Ferreira氏が、Comcastが開発・運用するPMA(Profile Management Application)を前提に、ニューラルモデルに基づくMachine Learning概念について説明しました。このあたりがテーマの「AI活用」という事らしいです。
最後に同じくComcastのLei Zhou氏が、DOCSIS 3.1のMid(~85MHz)/High(~204MHz) 上り帯域環境下でのPNM実践時の留意点について説明しました。

後者のセッションは、冒頭の発表者であるCisco社のRon Hranac氏によるDOCSIS 3.0/3.1 CMの拡張機能であるFBC(Full Band Capture)に関する応用事例のみ聞きたかったので参加しました。FBCの効用は、あくまでCMが同オプション機能を実装している場合に限りますが、CMが全下り帯域をスイープ、データをセンター側から随時取得、又は、センター側に定期的に転送できるという、あたかも宅内に多数のスペアナを配置したかのような、伝送路保守者にはある意味夢のようなシチュエーションを期待できます。
DOCSIS3.0ではFBCをサポートするCMへのSNMP Getで取り出せます。対象MIBオブジェクトはDOCS-IF3-MIBに定義されています。
DOCSIS3.1ではFBCはMUSTのため全CMがFBCに対応しています。3.1ではCMが生成するFBCデータを「PNMデータ」としてPHYのSection 9で定義しています。3.1ではSNMP Getに加え、TFTPによるデータファイルのバルク転送方式もサポートされています。
後の方々の発表はより高周波信号の漏洩に特化した原理的な内容であり、一応聞きましたが本稿で書くにはマニアック過ぎるので割愛します。

我が社では約10年程前からDOCSISのPNM分野への活用を検討しており、Cable Labs.やSCTEによるPNM分野の成果発表には特に注目しています。
以前よりDOCSIS 3.1にはPNM分野で2つの大きな進展がありました。
上り伝送ではComcastとCable Labs.が共同発表したPMAによる上りOFDMAチャンネルプロファイルの動的制御・最適化であり、下り伝送では本稿でも扱ったRonの発表中のFBCのMUST化です。
DOCSIS 4.0ではFDXなど新たな概念が導入されますから、PNM分野の概念も比例して拡張されていくものと思われます。
興味深い分野であり、日本のCATV事業者からの引き合いが来たら、是非ご一緒に研究開発させて頂きたいと思っています。関係者からのご連絡を真剣にお待ちしております。